季節の変わり目、環境の変化等、何かとストレスのかかる時期ですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?「最近なんかやる気が出ない」「なんかすぐ疲れる」等と感じることはないでしょうか?今日は少しうつ病について考えたいと思います。
うつ病の症状としては、不眠、食欲低下、気分の落ち込み、意欲の低下、興味の減退、集中力の低下、無価値観や過剰な罪悪感、希死念慮などがあります。このような症状により著しい苦痛があり、日常生活に支障をきたしている状態が2週間以上継続した場合にうつ病と診断します。また、その他に頭痛、めまい、動悸、倦怠感等の身体症状も出現する頻度が多く、6割以上の方が最初に内科を受診します。うつ病になってしまうと、集中力がなくなるので仕事が遅くなり、ミスも増えます。それにより「仕事ができない」と勘違いされ、自信をなくしていきます。また意欲が低下するので積極的に物事に取り組めず周囲からは「やる気がない」と思われてしまいます。不安感が強くなり、普段であれば何とも思わないようなことで不安になってしまい、またマイナス思考となり自責的になってしまうのでどんどんと悪循環にはまってしまいます。自分にゆとりがなくなってしまうので、ついイライラしてしまいます。こういった症状は「病気の症状」として捉える必要があり、ここまできてしまうと「考え方を変えよう」と思ってもなかなかできません。また、うつ病の状態では冷静な判断ができなくなっているので、「仕事を辞める」等の重要な決断は、ある程度症状が改善して冷静な判断ができるようになってからにしましょう。
うつ病の病態機序はまだ完全に解明されてはいませんが、病態の一部にセロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミン系の神経伝達物質欠乏が関与するというモノアミン仮説がよく知られています。治療薬とされている「抗うつ薬」ではこれらのモノアミンを補う形で、うつ病の症状を改善させる働きがあります。うつ病になった場合には「病気」という観点で治療する必要があります。うつ病の状態で仕事をするというのは、足を骨折している状態で50m走をするようなものです。しっかりと休養して回復する必要があります。「もしかして」と思った場合は、お近くの精神科、心療内科を受診してみてください。
精神科・心療内科医師 I
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