12月になりましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は再び拡大傾向にあります。COVID-19の影響に伴い、社会のあり方が様変わりしました。生活の中で負荷がかかる場面も多いことと思います。また、それがいつまで続くのか、先の見通しも立ちにくくなっています。
このような状況では、様々な不安やストレスを感じやすくなるため、メンタルヘルスを考える上でポイントとなる点についてまとめました。少しでも参考になれば幸いです。
1.COVID-19感染拡大がもたらす心理的影響
感染拡大が引き起こす心理面への影響は、3つに分けて考えることができると思われます。
① 感染そのものに関するもの
・自分がCOVID-19に感染するのではないか、知らないうちに感染を広めてしまうのではないかという不安。
・これまでの生活ではそれほど気にならなかった症状に過敏になる(咳や熱っぽさなど)。
・感染した場合、そのことが知られて差別されるのではという不安。
・この感染症がいつ終息するのか見通しが持てないことに対する不安。
② 生活や環境に関するもの
・行動が制限されることに不自由や苛立ちを感じる。
・生活リズムが乱れる。
・仕事の中でいつものような関わりが十分できない(タッチングやじっくり話を聴くことなど)。
・仕事に関して、聞いていたこととは違う事態が生じる、情報の変化が大きい。
・仕事に関する不安を話すことができない。
・スタッフ間で感染対応についての温度差を感じたり、部署内で意見の食い違いがある。
・医療関係者であることから偏見をもたれる。(またはそう見られるのではないかと気を使う)
・家族と一緒に過ごす時間が長くなることで、家庭内での葛藤が生じやすくなる。
・遠くの実家との行き来が難しい。首都圏に住んでいることで、地方の人々から距離を置かれる。
・学齢の子どもがいる場合、学校関連のやり取りに負担を感じる。
・家族に高齢者がいる場合、外出時に気を使う。また行動の制限などのために機能の低下が生じる。
③ 社会全体や情報に関するもの
・感染症専門家あるいは解説者が話す内容にも様々な立場がある。
・政治家の発言が断片的と感じる。
・施策や行政の考え方が自分の考えとは違う。
・心無い行動のニュースや情報(様々なデマ、いわゆる「自粛警察」、罹患者への偏見、など)に不快な気分になる。
・大切なことが自分と関係ないところで決定されると感じる。
2.ストレスチェック
そのような心理面への影響が蓄積したり、複雑に絡み合ったりして、様々なストレス反応が出てくることがあります。例を挙げると以下のようなことです。
・疲れやすい。
・何かをしようとするとおっくうに感じる、めんどうになる。
・いつもより集中できない。
・疎外感や孤独感が増す。
・周りからの視線に過敏になる。
・イライラする。
・気分が落ち込む。
・考え方がマイナス志向になる(悲観的・自責的・厭世的)。
・高揚感(テンション」が上がる)。
・不眠(眠りが浅い)。
・胃痛・食欲不振、頭痛(または頭が重い)などの身体症状。
・行動のコントロールがしにくくなる(「スマホ依存」など)
現在、心に負荷がかかりやすい状況にあることを踏まえた上で、自分の状態に早めに気づけることが大切です。
不慣れなことや不安が続く中で、自律神経の乱れから眠りが浅かったり、慢性的な疲労がたまっているかもしれません。また、このような状況では不安を感じても自然です。ただ、そこに引きずりこまれないことが大切です。「正しく恐れることが大切」とよく言われますが、不安が不安を呼ぶ、怒りが怒りを呼ぶ、といったような悪循環に陥るようなら要注意です。
3.対処法
ストレスに応じるため、私はこういう努力をしていると実感できることが大切です。小さなことでも結構です。
①日常生活について
新進の健康のためにできることを「意識する」というだけでも大切です。よく指摘される「規則正しい生活」は難しい場合もあるでしょうが、食事、睡眠、運動、生活リズム(メリハリ)について、自分に合ったものを吟味してみましょう。例えば、これからは日照時間も短くなるので、日光当たる時間を工夫してみるのもよいでしょう。
②人と話をする
何気ないおしゃべりやちょっとした会話は意外と減っているかもしれません。でも、それは意外と重要なもの。少しでも、そんな時間を取る工夫も大切かもしれません。また、困っていることがあれば、信頼できる人と話し合ったり話を聴いてもらったりすることは、やはり有効です。「たいへんなのは私だけじゃない」と遠慮しがちな人もいますが、自分自身も大切な存在です。
④ 考え方・捉え方
不確定なことが大きい中では気分も重くなりがちですが、「小さなこと」を大切にできると少し感じ方が変わってきます。例えば、何かを判断することが難しいとき、「とりあえず、こうしよう(結果を見て後で調整できる)」とか「これをやっておけば最悪よりはまし」などと考えてみるとスイッチが入るときがあります。
また、「××しないとダメ」という言葉を使いがちですが、逆に「〇〇しておけば大丈夫」ととらえ直すと、余分な緊張感は取れるかもしれません。
⑤ 気持ちの「リセット」
それから、気分転換や気持ちの「リセット」のためにどんなことができるでしょうか。まずは音楽を聴く、お風呂でゆったり過ごす、・・・・など自分に合ったものがあるのではないでしょうか?
ヨガ、ストレッチ、呼吸法などのリラクセーション技法を取り入れる方もい
ます。簡単な首回しでも、いつもより痛いと感じることがあるかもしれませ
ん。そんな時はいつもより疲れや緊張がたまっているのかもしれません。
無理なく、適度な強さで行いましょう。
もう一つ、大事なことは、自分の生活の中で新鮮な気持ちをもつことで
す。見慣れたものでも、初めて見るようなつもりで見てみると、また違っ
て感じられるのではないでしょうか。夜空を眺めてみる、食事をいつもよ
りじっくりと味わってみる、朝目覚めた時の鳥の鳴き声に注意を向けてみ
(K.E)